おおむらさきの日記

読書と映画、生活いろいろ日記

【読書】面白南極料理人

 

 

堺雅人主演の映画(2009)を観てこちらも読んでみた。
読んでみてまず思ったのは、映画の方は万人受けするようなつくりだな(良い意味で)というのと、これを原作に上手いこと起承転結の物語をつくったなということ。

原作の本著は著者が1996-1998年の間に南極地域観測隊に参加し、ドーム基地での越冬の日々を描いたもの。”令和”に読む読者は「だいぶ昔」の話であるということと「男9人」で越冬する話ということは頭に入れておいても良さそう。笑 
というのも結構男くさいし、ジェンダー観ももちろんその時代のものなので…(丁寧な言葉遣いをするドクターを「とはいえ彼はオカマじゃないんですよ!」みたいに何回か言及する描写、次の越冬隊に女性がいると知って「いろいろ大丈夫なのか?よっぽどのブスなのだろうか」とかいちいち言及する描写がある)


別にポリコレな方でもないのだが、さすがに令和の現代ではちょいと引っ掛かるなぁみたいなところもあったのが正直な感想。

それも含めてかなり赤裸々に書いたんでしょう。全体的にユーモラスでとても面白いエッセイです。

でももちろんこの主題はそこではなくて、南極大陸というウイルスも存在しない極限の場所で人間たちが一年以上過ごすということ。男9人は料理人の著者をはじめ、それぞれが各分野のプロフェッショナル。

ストレス溜めたり、時に爆発させたりしながらも南極大陸で任務を遂行していく。その傍らにあって皆を大きく支えているのが「料理」。
食べないと死ぬという意味で不可欠なものでもあるのだが、何もない南極大陸においては料理は大いなる「エンタメ」でもある。それぞれの誕生日を盛大に祝ったり、冬至祭を楽しんだり、著者の料理人だけでなく他の隊員も料理を作り出す描写が多々ある。料理は息抜きでもあり、人間間の交流のためのツールでもあったんだろうなと思う。
マジで食材が豪華でビビりますが笑(この辺も赤裸々)、そりゃそうなるよなぁとも思います。料理はヘルスケアでもあるし同時にメンタルケアに大きく寄与するとも思うので。南極大陸なら尚更。美味しそうだしもちろんお金はかからないしで羨ましいです。

 

昭和基地は都会だ!とびっくりするドーム基地隊員、というような描写もあり、その辺りの違いも興味深かった。

あとかなり余談ですが、髭モジャおもしろ写真&エピソード満載の隊員たちですが、ググるとみんな(当然)偉くなっていてちょっと笑えます。

寝る前の読書にぴったり。いい具合に刺激的で、視野を広げてくれる感じ。

日常生活、いろいろありますが、南極に想いを馳せることでちょっとだけ日常に彩りが加わって新鮮なものになる気がします。