【映画】東京オアシス(2011) 何も起こらないけど不思議と記憶に残る
『東京オアシス』(2011)観たよ日記です。
何も起こらない映画。眠くなるし実際寝た。レンタルだったので、気を取り直してもう一回観たけれども。
だが、寝たからと言ってつまらない映画というわけではないと思います。
これは観る人を選ぶ映画というよりは、観るタイミングを選ぶ映画と言えるのではないだろうかと。
「東京オアシス」と言う映画タイトルにあるように、「東京」の冠がつくわけですが、田舎者(失礼)が上京してきた地"TOKYO"で疲れ果ててる、みたいな映画ではないし、かといって、TOKYOのキラキラ(あるいはギラギラ)を描いているわけではない。
過度に高層ビルを映すような演出もない。
東京育ちの自分としては、そういった演出に、なんだか違和感を感じたり、居心地が悪くなる部分があったりしたので、
個人的には、地に足のついた感のある、
なかなかニュートラルな東京の演出をしている映画だと思いました。
(キャッチコピーは「見つめてみよう。きっと誰かがみえてくる。」だそうです。東京とその街に暮らす人々を静かに見つめるスローライフ・ムービーとのことで、終始ゆったり、こじんまりとしています。)
実際、映画冒頭は下道の「杉並区」の道路標識が映し出されるところからスタートして「ガスト」と「ミニストップ」の電光看板もカメラで拾いながらの夜間ドライブの映像。
普通に田舎っぽさを残しているように感じます。
「東京!!!」「TOKYO!!!」と勢いよく言うと、なにか巨大な概念を感じるかもしれませんが、たとえば、杉並区、葛飾区、世田谷区…などと分解した視線を向けると、ただの生活圏なんだよなぁと感じる気がします。(この感覚、伝わってますかね?)
映像の話に戻ります。
で、そこからすぐに新宿に入って「大都会東京」ぽさを映すのですが、またすぐ切り替わり、清潔だがひとけも車通りも少なさそうな道路に。
加瀬亮がコンビニのなかをウロウロしながら結局買ったものはチオビタドリンクとガムとガリガリ君?トータル350円。
なんであんなふうにコンビニの中を徘徊(?)した映像にしたんですかね?いや、私もあんな風に買うモノを選ぶのでわかるんですけど。
コンビニって無機質さとも結びつくけど、仕事帰りや疲れている時には、それこそオアシスとしての役割を果たしてくれているような気もします。
で、
チオビタは、最近栄養ドリンクに目が向くようになってきたので、加瀬亮が買う気持ちもふんわりわかる気がする。
ガムは眠気覚ましかな?
ガリガリ君で、コスパ良くスッキリシャッキリしたかったのかなぁ?
…とかいちいち考えてしまいました。見終わったあと、ふとね。
重要なシーン、
「ガリガリ君を捨てながらダッシュしての回転レシーブ」はホント鮮やかで2回目に観ると結構笑えました。
加瀬亮は「何笑ってんすか」と怒ってましたが、あそこで「回転レシーブした!笑笑」と大笑いした小林聡美はあながち間違ってない気がします。(?)
あとはサービスエリアのシーン。
きつねうどんが美味しそうでしたね。
フードコーディネーターは飯島奈美さんということで納得、こんな何気ない感じの食べ物にもほんのり美意識が香っているような感じがあり、印象に残りました。
ほんっとにシンプルなうどんなんですが、なんであんな沁みるような「うまそう…」という感情を抱かさせるのでしょうか?
あと、あどけなさが残る感じの若かりし黒木華さんも出ていました。動物園に面接に来た浪人生のお話。こちらのお話も、なんか良かったです。なんか、良かった。
癒されるか?と聞かれれば癒される系の映画でもない気がします。ただ、「何も起こらない」からといって「記憶にも残らない」ような映画ではなかったなと思いました。
この映画のテンポとか、
1人、部屋でひっそり観たあの感じとかも含めて、ふとしたときに思い出すような、そんな記憶に残る映画だと思います。
何も考えずにただ世界観を浴びる、そんな映画体験に、なんだかんだで癒されていたみたいです。